パーキンソン病リハビリ
パーキンソン病とは
パーキンソン病の本態を端的に表すと、「脳の神経伝達の異常」ということになります。
具体的には中脳の黒質という部分が何らかの理由で侵され、脳から全身の筋肉を動かす指令を伝えるときに放出されるドーパミンというホルモンが上手く出なくなります。それに伴って、肉体的な症状だけでなく自律神経的な症状など全身多岐にわたる様々な症状を発症します。
日本では難病指定されている疾患の一つであり、パーキンソン病を予防する方法や完治させる治療法が確立されているわけではありません。そのためリハビリを始め、外科療法、薬物療法など様々な角度からの治療が施されるのが一般的です。パーキンソン病が直接的に命の危険性に結び付くような病気ではないため、生命予後は良好ではあります。
しかし、徐々に症状が進行するにあたって日常生活に支障をきたすレベルにまで落ち込む可能性はあるので、早い段階で何らかの治療などを行った方がいいだろうというのが当院の見解です。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の症状はゆっくり進行するというのも一つの特徴です。
肉体的な症状と自律神経的な症状にわけることができます。
肉体的な症状
代表的なのは「震戦」です。何かをしようとすると手が震えだしたり、筋肉がこわばってしまうので動作が遅くなります。それによって「突進歩行」という、前につんのめるような歩き方になることもあります。
身体のバランスがとれなくなる場合もあり(姿勢反射障害)、常に前かがみの姿勢になったり、イスに座ろうとしたときにドンッと勢いよく座ってしまったり、文字を書くときに上手くかけなくなったりします。
最初はさほど大きく症状が出るわけではないので、パーキンソン病の初期では気付かないこともあるでしょう。ある時を境に明らかに日常生活に今までと違う行動困難な場面に遭遇したらすぐに病院にいってパーキンソン病の検査をする必要があります。
自律神経症状
頻尿、便秘、起立性低血圧がパーキンソン病における主な自律神経症状です。
しかしこれらはパーキンソン病でなくとも多くの人が一度は直面する問題でもあるので、これだけでパーキンソン病と判断するのは早計ですが、気になることがあれば何でも主治医や私たちに相談してください。
また、むずむず脚症候群という病態を発症することもあります。その名の通り、脚を虫が這うようなむずむずする感覚が寝る時などに感じられる状態で、パーキンソン病の併発症としてよく起こります。一説には、鉄分不足のせいとも言われているので栄養状態が問題になっていることもあるかもしれません。
その他、うつ症状や倦怠感なども患者さんの訴えとしては多いです。
当院でのパーキンソン病のリハビリプログラム
当接骨院で行うパーキンソン病のリハビリは普通の接骨院とはちょっと違います。電気をかけてマッサージをして、ちょっと運動をして終わりではありません。当接骨院ではパーキンソン病のリハビリとして「整体」を行います。
いまいちパーキンソン病のリハビリと整体が結びつかないという方が多いと思いますが、これにはただ単に電気をかけたりマッサージするより効果があるという理論的な理由があります。
パーキンソン病による筋肉の緊張だけじゃない
パーキンソン病のリハビリとして当院に来院される方は、「日常生活動作をスムーズに行いたい」「今の状態を悪化させたくない」「もっと楽に歩けるようになりたい」という想いをもって来院されます。
パーキンソン病によって筋肉の緊張が出るのは確かなので、それによって動作が制限されたり今まで通りいかなくなることもあります。しかし、筋肉が使いにくくなる原因が全て病気による影響かと言われると、実はそうではありません。姿勢の悪化や関節の動きのズレなどで余計に悪化させているケースも多いのです。
当院のパーキンソン病のリハビリプログラムでは、姿勢や関節の動かし方などを改善していくことで生活レベルを向上させることができるようにしていきます。
薬を飲んでも完全にパーキンソン病の進行を止められるわけじゃない
残念ながら現時点の医療では完璧にパーキンソン病を根本的に治す方法が確立されているわけではありません。
緩やかではありますし、限りなく停滞に近い状態にする術はあるかもしれませんが、少しずつ病気は進行をしていくケースが多いです。しかし、姿勢の悪化や関節の動かし方に関しては整体の施術によって今よりも改善する部分があります。
整体を行わずにパーキンソン病と付き合っていくよりも、少しでも改善や維持ができるポイントを押さえて付き合った方が全体的なパーキンソン病の進行度合いとしてはより緩やかになり、体感として改善する可能性が大いにあります。
パーキンソン病のリハビリを病院ではこうやる
病院でパーキンソン病のリハビリや治療を行う場合は、主に3つのカテゴリーによるアプローチが行われます。
薬物療法
脳内のホルモン放出の異常がパーキンソン病の本態と言われているので、薬物によって足りなくなっているホルモンを補う目的で治療薬が処方されることがあります。
具体的にはドーパミンというホルモンの異常なので、ドーパミンと似た作用をもつ薬物を投与することになります。ただ、薬物療法をメインに治療を進める場合は基本的にずっと薬を飲み続けないといけないので、人によっては二次的に体調を崩す例があるのも事実です。
手術
中脳という部分の細胞の異常なので、脳の手術になります。
薬物療法の長期化によって副作用的に負担が出ている場合などに外科的な治療が施されることになります。
脳の奥に電極を埋め込み微弱な電気信号を発することで運動機能を助けるという仕組みです。できれば手術をやらずにパーキンソン病を改善したいというのが実際の患者の本音でしょう。
リハビリ・運動療法
パーキンソン病のリハビリは筋肉の拘縮やこわばりをとっていくことから始まります。
適度な軽い運動がメニューとして組まれることが多いですが、パーキンソン病を根本的に治すような運動療法というのはさすがに存在していないので、進行を少しでも遅くして生活レベルになるべく影響が出ないようにしていくことが一番の目的になります。
当院のパーキンソン病のリハビリは整体技術を用いたものですが、これら病院での治療ではカバーしきれない部分にアプローチしていくことになります。
病院での治療に加えて少しでもプラスになることに取り組みたい方、生活レベルを維持・向上させたい方、薬を飲まなくてもいい状態にしたい方などにぜひ受けてもらいたい施術です。
パーキンソン病のリハビリに有効な体操
パーキンソン病のリハビリでは当接骨院で行う整体を定期的に受けるだけでなく、やはりご自身で行っていただくセルフケアも重要です。
状態に応じてこちらから簡単にできるエクササイズを随時お教えしていきます。
その中でも、今までパーキンソン病で悩んでいらっしゃった方に実際に指導して効果が得られた体操を一つご紹介します。
ペンギン体操
- ☑ 両方の手のひらを前に向けて、腕を下に降ろして立つ
- ☑ 肘を伸ばしたまま手を肩の高さくらいまで上げる
- ☑ そこから両方の小指同士が背中の後ろで近づくように手を振り下ろす
- ☑ リズミカルに10回くらい行う
やり方はこんな感じでとても簡単です。決して無理してやってはいけません。心地よく動かせる範囲と回数で行ってください。
このペンギン体操を行うことで、胸椎(背骨)や肩甲骨の動きが良くなり姿勢の改善にも結び付きます。それが日常生活での動作の改善に繋がるのでぜひ気付いたときにやってみてください。
パーキンソン病のリハビリを何で評価するか?
パーキンソン病のリハビリを当院で行う場合、病院ではありませんからホルモンの値やレントゲンを撮ることはできません。では、何をもって日々の通院がプラスになっているのかどうかを判断するかというと「姿勢の改善」と「ご自身の感覚」をものさしにしていきます。
姿勢の改善
姿勢の部分の評価については、毎回施術の前後に写真を撮影して客観的な目線でも評価できるようにしていきます。その日の変化はもちろん、初回の施術時と比べて今日の状態がどうなのか?という部分も評価することができます。
姿勢がよくなっていれば当然体は動かしやすくなりますから、パーキンソン病のリハビリは前進しているといえます。
ご自身の感覚
例えば体が軽くなった、疲れにくくなった、腕が上がりやすくなった、歩くのが早くなったなどご自身の主観的な感覚も評価の上では大切です。
結局、客観的な姿勢だけがよくなっていて日常生活動作が改善されていなければ何の意味もないので主観的客観的の両方からパーキンソン病のリハビリの進捗具合を患者様と施術者と一緒に確認して進めていきます。